ささやんブログ

"いま"を醸していく

味噌から始まる出会いもある

「自分らしく」という言葉は昔から人を励ます際に多用される都合の良い言葉である。

 

「もっと自分らしさを出していこう!」

「それがあなたらしくて良いんじゃない?」

 

確かに言いたいことはわかる。僕も言う。言っちゃう・・・。

しかしこれほど無責任な言葉はない!思考停止状態。相手のことなど考えなくてもスラスラ誰にでも言える言葉である。この言葉を多用する人に大事な相談をしてもろくなことがない!みんな決まって「いいんじゃない?自分らしくそのままで」である。そもそも「自分らしさ」ってなんやねん!

 

自分らしさ。それは自分の育ってきた環境に大きな影響を受ける。

面倒見の良い長男。自由奔放な次男。甘えてばかりの三男。これは宇宙でも共通の男三兄弟の原則であるが、結局自分らしさというのは「本来もって生まれたもの」というよりも家庭環境なども含めて事後的に決まっていくものなのだ。

であるならば、「自分らしく」という無責任な言葉ほど、その人の可能性を消してしまう言葉もないであろう。過去にとらわれ、「本来の自分」という幻想に足を引っ張られてしまうこともあるだろう。

 

 

時間の流れが遅いまち

地域性。それもまた「その人らしさ」を作り出す大きな要因である。

その地域の人にとっての「当たり前」は、他の地域の人から見れば「当たり前ではない」のだ。「虫食べるの!?」「目玉焼きには醤油でしょ!」「鼻くそは左手でほじりなさい」

僕にとって大切なものは、相手にとっては大切ではない。

相手にとって重要なことは、僕にとって重要ではない。

 

物事には正解や不正解などないのだから、自分の価値観や他人の価値観に優劣をつける必要はないのだけど、自分の価値観にこだわり続けるのもまた、生きる世界を狭くしてしまう要因になるだろう。

 

 

 

先週の日曜日、僕は友人のクマ臓くんと一緒に沖縄へ行った。三十路の男2人で。もちろん観光ではない。味噌を作るためにである。理学療法士である傍ら、味噌職人としての第2の人生を歩み始めているのです。

 

事の発端は、2年前に「沖縄ワクワクセミナー」というセラピスト向けセミナーに受講してくれていた沖縄ITラボの渡部くんに声をかけてもらったことがスタート。僕も「味噌を作っている人」というイメージが着々と全国に浸透してきているのだと感じる。。

 

当日は子供から大人まで、親子3世代で参加してくれている方もいて非常に活気ある空間になった。皆で和気あいあいと大豆をこね、麹をかき混ぜた。

 

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「味噌作りにおいて一番大変な工程はどこか?」

そう問われれば間違いなく「大豆を水で18時間浸し、3時間茹でる工程」と胸を張って答える。これが終われば味噌作りは9割終わったようなもの。

 

今回はそのクッソ大変な工程を、主催してくれた渡部夫妻に全てやっていただいた。大豆の量も量なので前日は徹夜作業であったそうだ。きっと今頃大豆を見るのも嫌になるほど心に深い傷を負っているに違いない。本当に頭が上がらない思いです。

 

というわけなので、僕らが「講師」という名ばかりの偉そうな看板を掲げて味噌作りワークショップを開始する時には、すでに渡部夫妻の努力によって味噌作りの工程は9割終えていたのである。僕らは仕上げのおいしいところだけを担当したにすぎない。

 

この日は会場が17時までということだったので、途中途中で時間を確認して進行していた。完璧なペースであった。間違いなく時間きっちりで終わる。何せ開始時点で9割終えているのだから。

 

しかしそのペース計算は「関東では」という前提であった。これまで何度も開催していた味噌作り。全て関東での開催だった。関東。そこは常に時間に追われたストレスフル空間。電車が3分遅延しただけで喧嘩が始まるワサワサした街。そのような人々の時間のペースで計算していたものだから、時計の針が17時に近づくにつれて僕は脇汗を書き始めた。

沖縄の方々は皆とても素敵な空気感を持っている。語弊の無いように先に書いておくが、僕は沖縄が大好きだ。沖縄の人も大好きだ!しかし遅い。とにかく遅い!!言い方が悪いから訂正する。のんびりすぎるのである!!!!

 

16時57分。すでにヤクザの面をした会場スタッフが説教する気満々で待ち構えている!15分前にも「必ず17時には会場を出るように」と釘を刺されていた僕は焦りが止まらない。このままでは殺られちゃう・・・

 僕の腋窩は汗の無法地帯。クマ臓も心なしか顔面蒼白!しかし沖縄の受講された方々は焦っている様子がない!和気あいあいと片付けているように見える!それだけ味噌作りが楽しかったのか。よかったよかった!いや、今はそれどころじゃない!

 

17時just。なんとか荷物を会場から運び出しギリギリセーフ。ヤクザも意外と何も言ってこなかった。関東のヤクザならアウト。殺られていただろう。

 

会場を出て渡部くんに一言「やっぱり沖縄の人は焦らないんですね〜」

すると渡部くんは「えっ、みんな結構焦ってるように見えましたけどね〜」

「・・・そうでしたか!!」

 

 

その地域の人にとっての「当たり前」は、他の地域の人から見れば「当たり前ではない」のだ。

 

沖縄の人のウチナータイム。今回のワークショップでは渡部くんが「関東の人は厳しいから絶対に遅刻をしてはならない!殺られる!!」と事前に釘を刺してくれていたようで、全員が開始時間前に会場に着いていた。

 

しかし片付けの時にはウチナータイムが垣間見えた気がする。

僕はそんなゆるさが好きである。時間に遅れて困ることもあるだろう。迷惑をかける場面もあるだろう。そんな中でも生きていけるのは結局は人柄なのである。時間に追われない生き方。本当はそこに大切なものがあるのではないか。

 

「自分らしく」

生物学的には生体リズムはあっても時間という概念はないはず。

真の意味での自分らしさは、関東では取り戻せないものなのかもしれない。

 

 

 

 

味噌作りの報告をしようと思ったのに、結局ほとんど書いていない・・・ 

沖縄ワークショップの報告は沖縄ITラボの記事をご一読ください!!